IT製品のキーワードは「直感的に使いやすい」
「intuitively easy-to-use」・・「直感的に使いやすい」と直訳できる。
最近、欧米のIT製品や家電製品メーカーのマーケティングについての記事を読んでいると、この言葉がよく目につく。
「アップル、ノキア、フィリップスなどグローバルなIT製品メーカーは、心理学者や人類学者のアドバイスを得て、直感的に使いやすい製品を設計している・・」といったふうに使われる。ぶ厚い文書マニュアルを読まなくても(つまり、意識的に考える努力をしなくても)、直感的にこのボタンを押せばいいだろうとか、次はこのキーを押すのだろう・・・と感じて使えるような製品デザインを設計する。
アップルのi フォンはintuitively easy-to-useな製品だ・・・といわれる。
i フォンがアメリカで発売されたときに、「高い技術力、世界に通じず」とか「技術至上の日本に教訓」といったような見出しが日本の新聞を飾った。日本のメーカーは十一社を合計しても、ケータイ電話世界市場で7%しかシェアを獲得できていない。その現状を嘆いているわけだ。
「日本のメーカーは技術は優秀だが・・・」という言葉は日本だけでなく欧米の新聞や本でも見られるようになっている。ソニーがプレイステーション3を発売した週明けのニューヨークタイムズ(2006年11月20日付)は「PS3はたしかに世界でもっともパワフルなゲーム機器ではあるが、世界一楽しい魅惑的な経験を提供するものではない。この二つの間には大きな違いがあり、その違いにソニーは気づいていない」と書いた。
痛っ!
「五感刺激のブランド戦略(ダイヤモンド社)」には、ソニーやパナソニックといった日本のAV機器は視覚聴覚といった感覚にアピールする技術を(つまり、AV機器として伝統的に強調してきた特徴を)極めてはいるが、そういった技術レベルはある高さ以上になると、消費者にはその違いがわからなくなる。結果、それ以外の感覚にアピールしているメーカーの製品のほうが差別化に成功している・・・・と書かれている。
そんなの関係ねえ・・・と言うこともできる。
たとえば、ケータイ電話の話に戻れば、ノキアやモトローラといった電話機の部品、つまり、セラミックコンデンサー、水晶部品、カメラユニット、その他主要部品の多くが日本企業製だ。セラミックコンデンサーにいたっては日本メーカーが世界シェアの8割を占めているという (日経新聞2007年8月27日)。日本のケータイメーカーが世界に先駆けて高機能化を進め、その結果として、部品メーカーの国際競争力が強化されたと考えられている。
誰もがブランドメーカーになる必要はない。
技術をとことんまで極めていくことが日本人の資質に合っているのなら、それでもよいのではないか。一つのことに集中するほうが、いろんな意味で効率がよい。それに、消費者に対応するよりは、企業顧客を理解するほうがずっと簡単なことは事実だし・・・。
グローバルなブランドメーカーが頼る日本の部品メーカー・・・というのも非常にスマートな選択肢ではないだろうか。
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