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2007年11月29日 (木)

ヒューリスティックな消費者たち 

 消費者の行動が予測できない?

 当然です。

 だって、合理的に考えて行動しているわけじゃないんですから。

 たとえば、オーディオ・ビジュアル(AV)製品を使って、消費者の理不尽さを証明した実験があります。

  1. 機能の数が違う以外はまったく同じAV製品3つのモデル(それぞれ、7、14 、21個の機能をもつ)を見せたら、62.3%が21個の機能を持つモデルを選択した。
  2. 自分で好きな機能を選択して製品をカスタマイズできるとして25個の機能を提示したら、平均して19.6個の機能を選択した。
  3. 実際に使ってみたあとでは、機能が多いほど満足度が下がり、高機能製品を選択する率は62.3%から44%に下がった。 

 この実験では、ハイテク製品を使いこなす能力が高いはずの大学生が被験者として選ばれている。そして、高機能製品を選んだ大学生は、高機能であればあるほど複雑で使い勝手が悪くなることをよーく知っていた。それでも、なおかつ、大多数が高機能製品を選んだ。

 なぜなら、「多いほうがより良い」「同じ価格ならたくさんあるほうがお買い得」・・・は常識だもの。機能が多くなればなるほど、分厚いマニュアルを読んで、機能を習得するのに時間がかかることがわかっていても、「多いほうが得だ!」と、直感とか勘とか呼ばれるものが、心のなかから呼びかける。そして、人間は、こういった心の呼びかけに大きく影響されて行動する。

 性能(機能の数)と使い勝手を天秤にかけて総体的効用を算出しようなんていう論理的/分析的思考は、直感とか勘という本能的なものの前では、腕力のないインテリみたいなものだ。そして、いま、このIntuitionとかGut feelingというものが、人間の行動に与える影響に注目が集まっている。

 この分野の研究で著名なドイツの社会心理学者のゲルト・ギゲレンツァー博士は、ニューヨークタイムズとのインタビューで次のように語っている。

 「直感とかというものは、我々心理学者がヒューリスティクスと呼ぶところの 『正確ではないけれど、まあだいたいどの状況においても使える便利な原則』に基づいています。直感的思考方法は、人間の脳が、長い進化の歴史や経験によって得た能力です。この方法では、いくつかの情報に基づいて、二つ以上の選択肢の長所短所を比較しどれを選べば損か得か計算するなどという手間隙をかけません。ひとつの情報をキュー(手がかり)として判断し、その他の情報を無視します。だから、すばやく、効率よく判断できる。意識的な分析の結果ではないので、どうしてその結論にいたったか自分でもよくわかりません。でも、直感には、その人を行動させる強い力があります」

 ギゲレンツァー博士は、多くの個人投資家が株を買うときに勘で選択していることを実験で証明している。

 フツーの投資家は自分が名前を知っている企業の株を買う傾向が高い。つまり、著名企業の株のほうが価値があるという単純な基準で選択しているのだ。博士は、これを再認ヒューリスティク(Recognition Heuristic)と名づけた。そして、1990年代に、シカゴやミュンヘンの歩道を歩く360人の通行人にドイツやアメリカの上場企業リストをみせどの企業名を知っているかを尋ねた。調査結果から知名度が高いと認められた企業の株だけを集めて投資ポートフォリオを作って運営した。6ヵ月後、このポートフォリオは、平均して、ダウやその他の著名投資ファンドよりも高い成績を達成した。その後同じ実験を二度繰り返したが、いずれの場合も、専門家が論理的かつ分析的に選択したポートフォリオの成績を上回った。

 つまり、コンピュータや複雑な分析パッケージソフトを使わなくても、「知名度の高い企業」というひとつの単純な情報をキューとするだけで、投資に成功したわけだ。

 心理学者の多くは、直感的意思決定という「認知プロセスの近道」は、一億年以上の進化のなかで発達した脳の神経細胞の仕組みだと考えている。つまり、我々の遠い祖先たちは、自分たちを食っちまおうとする恐竜その他の捕食者たちから逃れようとするときに、すべての選択肢のすべての長所短所を熟慮している時間などなかった。迅速な決断を必要とする経験の積み重ねによって、「勘」の仕組みができあがったのだ。

 正しい判断をするために多くの情報を必要としないヒューリスティクスの正当性をコンピュータで証明した実験もある。自分の子供のために、中途退学率のもっとも低い高校を選択したいという母親がいた。だが、中退率の情報は存在しない・・・その場合、何に基づいて判断すべきか? 生徒の毎日の登校率、日本でいうところの偏差値、教師の給料その他18の情報(キュー)があった。18の情報を回帰分析にかけ、各情報の重要度を算出しながら、各高校の中途退学率を予測する。分析の結果わかったことは、中途退学率の一番低い高校を選択するためには、登校率を調べれば「コト足りる」ということだった。

 この結果を見て多くの人がしたり顔でつぶやいたはずだ。「きっとそうだと思ってたよ。登校率の良い学校は中途退学率も低いはずだ。コンピュータをつかって分析なんかしなくても、なんとなくそう思ってたよ」・・・これが勘とか直感とか呼ばれるしろものだ。

 消費者は、この勘とか直感によって行動することが多い。そして、この直感的思考方法はよくいうところの「アバウト」であり、おおよそにおいて正しいのだが、間違っていることもある。たとえば、上記の例のように、AV製品を選択するときに、「多いことは良いことだ」というヒューリスティクスに従い、あとで後悔したように・・・。

 だが、 この直感的思考方法は「ひらめき」をもたらし、ノベール賞ものの偉大な発見に導いてもくれる。日本では、将棋士の直感の仕組みを解明する脳科学の研究も始まったようだ。

  消費者行動シリーズでは、行動経済学、心理学、脳科学の新しい発見をもとに、消費者の不可解かつ複雑怪奇な行動について考えてみたいと思っています。

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参考文献: 1. Caludia Dreifus, Through Analysis, Gut Reaction Gains Credibility, New York Times 8/28/07, 2. Wray Herbert, Less(Information) is More, Newsweek 11/20/07, 3. Roland T. Rust, et al, Defeating Feature Fatigue, Harvard Business Review , Feb 20063.友野典男(2006)「行動経済学 経済は『感情』で動いている」光文社新書

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2007年11月24日 (土)

サイトからストアへ

 アメリカでクリスマス商戦が始まった・・・とTVニュースで報道されていた。今年は、サブプライム問題で消費の冷え込みが懸念され、商戦開始を早めて10月初めからおもちゃのセールを始めた大手小売店もあるようだ。

 一年の売上の三分の一が、11月末の感謝祭からクリスマスまでの一ヶ月間に集中するお国柄だ。プレゼントを贈らなくてはいけない親戚・友人・知人・アカの他人たちのリストを手に、混雑する店から店を何日も歩き回る・・・苦痛以外の何ものでもない! クリスマスじゃなくて「苦しみます」だ・・・なんて日本語ダジャレをアメリカ人が言うわきゃない。でも、ショッピングが苦痛であることに変わりはない。

 そんなときには、大手小売店シアーズの「5分で完了」サービスをご利用ください。

 ネットで商品の購買をすませ、あとで送られてくるeメールの確認書をもって最寄の店舗にいけば5分以内に商品が受け取れる。もし、5分以上時間がかかった場合は、ごったがえす店内に長時間の滞在をよぎなくされたお詫びのしるしとして5ドルの金券がもらえる。

 ウェブサイトで注文してお店で商品を受け取るサービス(サイトからストアへ/Site to Store サービス)を採用する小売店は、2005年ごろから増えてきた。それが、今年の夏に、ウォルマートが全国展開を始めたことで、俄然、ホットな話題となっている。ウォルマートによると、ネット購買者顧客の三分の一がこのサービスを利用しているそうだ。

  1. 客側のメリット: 1)ネットで購買すれば店舗よりも品揃えが豊富だ。たとえば、ハイビジョンTVは店には数種類しか置いてないが、ネットなら44種類のなかから選択できる。 2)配送料金が無料になる。
  2. 企業側のメリット: 1)実物を見ることができないからとネット購買を避けていた消費者の三分の一を獲得することができる。とくに、衣料品とか家具の販売に良い影響を与えるだろうと期待されている。 2)このサービスを利用する客の60%が、来店したついでに平均$60の付加購買をしてくれる

 企業側のメリットとして記されている数字は、過去2年間のテストで得た結果だ。こういったテスト数字に基づいてROI計算をするから、かなりの額のシステム投資を思い切って決断できる。ここがウォルマートの強いところだ。

 (だから、やっぱり、日本市場における投資にも勝算があるんだろうなぁ?って、みんな思っているんだけど・・・。でも、今年10月に西友を完全子会社化したことは、アメリカの株主や証券アナリストの間では評判が悪いようだ。基本的にウォルマートは先進国市場では失敗している。もともとスーパーマーケットチェーン第三位だったアズダを買収することで成功した英国以外では、ドイツでも韓国でもうまくいかなくて撤退している。アメリカでも大都市進出はまだ果たしていないし・・。先進国で大都市の東京商圏で、一生懸命勉強しているのかな?)

 話しを元に戻します。

 「サイトからストアへ」サービスは、消費者にとっても企業にとってもメリットがある・・・ということで、米小売業界でビッグヒットになっている。このサービスは、マルチチャネル展開をしている店舗小売業者をネット販売業者に対して競争優位に立たせるだろう・・・と考える専門家もいるようだ。

 つまりぃ・・・、アマゾンに代表されるようなネット販売業者は、ほとんどの場合、仕入れ商品を低い利益率で、しかも、かなりの割引価格で販売しているわけです。そのうえ、商品配送サービスは無料ないしはそれに近い料金システムになっている。つまり、ネット販売業者の実態は利益率が非常に低い薄利多売なのだ。かたや、マルチチャネル展開をしている店舗小売業は「サイトからストアへ」サービスを採用することによって、店舗での付加販売金額を考えると、ネット並みに安い価格をつけても、利益率はネットよりも高くなる・・・という理屈です。

 日本でもネットで注文してコンビニで受け取るサービスがあります。本などは、たとえ一冊でも送料無料が「売り」です。最近、DVDやCDをオンライン・レンタルしているTSUTAYAが、通常は、郵送で返却するDVDなどを店舗にもっていけば、もう一枚無料で借りられるサービスを実験的に始めました。でも、顧客はもともと郵送料金は払わなくてもよいシステムになっていたし、いくらもう一枚無料といわれても、店舗にわざわざ出向くかなあ? お店にいっても、売っているのは、ネットでも借りられるDVD、CD、ゲーム、それと本くらいでしょう? ついで買いもあまりないんじゃないかな? 反対に、店舗でレンタルしているひとが、来店する時間がないときは郵送返却してもOK・・・っていうのは便利なサービスだと思うけどね。

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参考文献: 1.Bob Tedeschi, Retailers Shortcut  From Desktop to Store, The New York Times, 9/24/07, 2.Chantal Tode, Wal-Mart touts site-to-store, DMNews, 7/24/07

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2007年11月17日 (土)

あの世の完璧な世界 (ブランドと感情と記憶No.9)

 完璧なブランドの実例を挙げるとしたら、2000年もの間、世界中で多くの信者(ファン)を維持してきた世界宗教しかない。

 ・・・ということで、「五感刺激のブランド戦略(ダイヤモンド社)」に基づいて、世界宗教がもつ10の構成要素のうち、5つまでを紹介した。

 その続きを書きます。

6.完璧であること

  世界宗教は完璧ではない。歴史をふりかえれば、聖職者や宗教団体の堕落や権力闘争はどの宗教にもみられる。だが、宗教は完璧な世界を約束してくれる。

 死んでからのことだけど・・・。

 通常、宗教は、神の(あるいは仏の)教えに従った人生をおくれば死後には完璧な世界である天国に住めることを約束する。そして、信者はその約束を信じて生きる。

 「五感刺激のブランド戦略」の著者マーチン・リンストロームは、ブランドは「消費者が完璧な世界であると考えるものを実現してくれる製品でなくてはいけない」と書いている。つまり、この製品を買えば(使えば)自分が夢見る世界が実現できると信じさせてくれるものでなくてはいけないのだ。

 ルイヴィトンやエルメスのバッグを持てば、自分が憧れるセレブの世界に近づける・・・そう信じれば、数十万円の値段は高くない(って、どう考えても、やっぱり高いでしょう)。昔の男たちは、かっこいい自動車を運転すれば女にもてると信じていた(最近はそんなことはありえないと悟ったようで、自動車はセックスとは無関係な製品になってきたようだ。これは、消費者と製品との感情的結びつきが減少していることであり、ブランドとしては危険な現象です)。

 現世において完璧な世界を提供できると考えてつくられたブランドもある。たとえば、ディズニーランド。ミッキーマウスがユビキタスに存在しているパーク内に入りさえすれば、そこは夢がかなう魔法の国。いま話題の三次元仮想世界のセカンドライフも完璧な世界を現世で提供する。その世界に入れば、自分のなりたい人間になれ、好きなビジネスやプロジェクトをはじめ、音楽や映画やロケットをつくり、仮想セックスを楽しみ、空を飛ぶこともできる。

 セカンドライフを創造したリンデンラボの創業者のフィリップ・ローゼンデールは興味深いことを言っている。「セカンドライフでは、最初の日から、あなたが欲しいもの何でも手に入れることができる。肝心なことは(セカンドライフの世界で)明日から何をするか・・・だ」。完璧な世界を一度経験してしまうと、その完璧性にかげりがさす。経験前に認識していた価値を維持することはむつかしい。セカンドライフの定期的利用者が登録者の数%に過ぎないのは、完璧な世界を手に入れた後、何をしてよいのか途方にくれるからだろう。

 世界宗教がこれほど長い間存続できた秘密のひとつは、完璧な世界を現世で提供しないからかもしれない。天国は、現世では手にとどかない世界だ。手に入らないからこそ、信者はずっと信者であり続ける。ブランドも、手に入らないからこそ、夢のブランドであり続ける。

 だからこそ、シリーズ第4回で書いたように、過去の記憶を思い出させてくれる商品は長寿ブランドになれるのだろう。だって、過去にあった出来事は絶対に二度と手に入れることはできないから・・・。そして、桑田佳祐が「明日晴れるかな」で歌ったように、「・・・在りし日の己れを愛するために、想い出は美しくあるさ・・・」。つまり、二度と手にすることができない過去はいつも完璧に美しい世界として思い出されるのだ。

7.感覚訴求

 宗教体験は五感を刺激する。

 天にそびえるゴシック教会のような宗教的建造物(視覚)、寺の線香の匂い(嗅覚)、読経や鐘、太鼓の音(聴覚)、そして数珠をまさぐる皮膚感覚。味覚はどうだろうか? キリストの血と肉とみなしてワインとパンを口にするカトリック教会はともかくも、仏教体験は味覚を刺激するだろうか? 仏教行事それぞれに、餅、酒、甘茶とか関係する飲食物はあるけれども・・・。

 密教の流れをくむ天台宗や真言宗で、護摩焚きをして燃える炎とリズミックに鳴らされる太鼓や鐘、お坊さんたちのお経の唱和をきくと、心がざわつき、原始的魂が鼓舞される思いがするものだ。密教のお経の唱和には独特の波動があると感じる人も多い。

 五感刺激はユニークな感情経験に導いてくれる。

8.儀式

 宗教に儀式はつきものだ。日本における仏教は、その教えを信じるひとは少なくても、葬式という儀式に使われることで社会に残っている状況にある。

 バレンタインにチョコレード、エンゲージリングにはダイヤモンド、祝い事にシャンペン、フランス料理でも「とりあえずビール」・・・・って、これは儀式じゃないかも。 いずれにしても、儀式につきものと思われるようになればシメタものだ。が、ここに挙げた例は、特定のブランドの売上には結びつかない。

 2002年ごろ九州の学生たちからクチコミで広まったとされる、受験戦争にキット勝つ「キットカット」。偶然とはいえ、毎年繰り返される儀式に関連づけられるようになったことは、ネスレにとっては超ラッキー。ということで、柳の下にどじょうで、他にもゴロ合わせがつくられるようになった。「受かーる」で明治の「カール」。笑えるのが、ロッテの「コアラのマーチ」で、「寝ていても落ちない」。

 東京タワーがライトダウンする瞬間を恋人といっしょに見ると幸せになれるという最近の都市伝説が流行らせた儀式は、東京タワーというブランドを有名にした。でも、売上にはつながらない。だって、タワーを一望できるところからいっしょに眺めるってことは、入場券を買わないってことだよね?

9.シンボル

 ルイヴィトンやシャネルとかになると、ファンはそのロゴのついたバッグを持ち洋服を着る。自ら宣伝媒体になってあげているというのに、お金をもらうどころか大金を払う。お人よしのバカ、アホ、アンポンタン・・・としか言いようがない。でも、まあ、ブランド・シンボルもそこまでくれば立派なもんです。

10.神秘性

 仏教のなかでも密教である真言宗とか天台宗になんとなく魅了されるのは、また、アメリカのセレブがチベット宗教に魅了されるのは、やっぱり、この神秘性でしょう。神秘的であればあるほど、消費者の好奇心は刺激される。

 在任期間が戦後歴代3位で平均支持率第1位に輝いている小泉元首相を首相ブランドとしてチェックしてみる。10の要素のうち、1)明確なビジョン、2)敵からパワーをもらう、3)真正さ(金銭に関する悪いウワサが出なかった)、4)一貫性・・・とそろっている。

 5)感覚訴求や6)シンボルもOKだろう。

 アメリカのエスクァイア誌はファッショナブルでインテリな若いエグゼクティブが読む雑誌だが、小泉元首相はこの雑誌の2005年の世界のベストドレッサー12位に選ばれている。これは、アジア系の男性としては最高位だ。選んだ理由として「彼が何を言っているかはさっぱり理解できないし(日本語だからわからないという意味)、あのヘアスタイルはいまいちだけど、だが、国家元首としてはジョン・F・ケネディー大統領以来のベストドレッサーだ」ってさ。日本の首相として国際社会で視覚的にアピールできたのは小泉クンが初めてだよ。それに、ライオンヘアーが立派なシンボルにもなっている。

 そのうえ、バツイチ独身でファーストレディーがいなかったぶん、私生活もなんとなくベールに包まれていた。ワンフレーズと批判されたけど、べらべら喋らなかったぶん、7)神秘性があった。

 というわけで、首相ブランドとして、小泉純一郎氏は10要素のうち7要素を持っていたことになる。これはやっぱり、歴代第1位だろう。

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参考文献: 1. Annalee Newitz, Your Second Life is Ready, Popular Science, 2005

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2007年11月10日 (土)

宗教は究極のブランド (ブランドと感情と記憶NO.8)

 ブランド関連の本を読んでいると、いつも眠くなる。

 ブランド・シンボルとかブランド・プロミスくらいはまだ理解できるが、ブランド・エッセンスとかブランド・パーソナリティとか書いてあると、頭にカスミがかかってくる.「ブランドシンボルフレームの体系化」なんて言葉が登場すると、完璧に脳が麻痺してくる。

 ブランド・マーケティングを理論化する試みにおいて、なぜ、こうも抽象的なくせにやけに複雑になるのか? なぜ、ブランド構築する作業が無味乾燥でつまらないものに思えてくるのか? 

 だいたいにおいて、ブランドとかヒット商品開発に関してのハウツー本が役に立つとは思えない。新商品をつくるための10か条とかあって、ターゲット顧客を変えてみるとか形を変えてみる・・・とか列挙される。そして、それぞれにおいて成功した商品名が具体例として挙げられる。

 でも、・・・それぞれの条項に失敗例も挙げることができる。

 つまり、マーケティングの歴史をひもとけば、同じようなことをして失敗した例もあれば、それと反対のことをして成功した例もあるのだ。

 機能を増やして成功したケータイもあれば、機能数を減らして成功したケータイもある。色をとって無色にして自然や健康を強調して成功した清涼飲料水もあれば、「ただの水みたいじゃん」とかいわれて失敗した清涼飲料水もある。

 だから、マーケティングの本で、成功するための10か条とか、ヒット商品をつくるための5か条とか書いてある本は、買わないほうがよいのだ。

 そう断言しながら、私はいま完璧なブランド10か条を紹介しようと考えている。

 ウソつき!

 だいたい、この世に、完璧なブランドなどないぞ!

 でも、あった。

 世界宗教。

 「五感刺激のブランド戦略(ダイヤモンド社)」の著者マーチン・リンストロームは、古今東西において究極のブランドは世界宗教である・・・と書いている。

 自分が翻訳した本だから賛成するわけではないが、世界宗教を完璧なブランドとみなすことは正しいと思う。なぜなら、キリスト教、仏教、イスラム教などは二千年前後の歴史をもち、世界中に信者(ファン)がおり、そのなかには熱狂的すぎる信者もいる。寿命の長さやファンの数からいっても完璧なブランドであろう。世界宗教を支える10の条件全部でなくても、そのうちのいくつかを備えていれば、グローバルな長寿ブランドになれること間違いなしだ。

 ・・・ということで、マーチン・リンストローム推薦の10の条件に従って、ブランティングについて考えてみる。

1.帰属意識

 どの宗教も共同体意識を育成することで強くなる。ユーザー同士が同じ共同体に属しているという意識が強いブランドの例として挙げられるのはハーレイダビッドソンとアップルだ。もっとも、アップルはiPodやiPhoneのヒットにより、従来の教育やデザイン分野で働くハイテクに精通した顧客以外にも、学生や一般サラリーマンのユーザーがふえた。顧客ベースの多様化と急激な膨張により、この共同体意識が薄れてきている。よって、ユーザーは以前ほどにはアップルという企業が犯す間違いに寛容ではなくなっているとビジネスウィークは報告している。

 SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を支援する企業サイトは、購買者に帰属意識をもたらすことがひとつの目的だ。ゲーム機器というかゲームソフト購買者にも帰属意識があるといえるだろう。

 帰属意識が強ければ、かつてのアップル信者と呼ばれた忠実な顧客たちのように、ちょっとくらい欠陥があってもちょっとくらい使い勝手が悪くても辛抱強く改善されるのを待ってくれる。それどころか、どうやったら改良できるのかいっしょに考えてくれたりもする。

2.目的意識をもった明確なビジョン

 自分が信じている神の教えを布教するために、宣教師たちはどんな危険な地にも出かける。通常は、ビジョンの御旗をかかげ先頭にたつ指導者を必要とする。アップルのスティーブ・ジョブズとかヴァージン・グループのリチャード・ブランソンとか・・・。だが、多くの場合、ビジョンは、創業者が亡くなるとともに、消えていってしまう。ソニーのように・・・・(ごめんなさい! ソニー精神の復活を期待しています)。

 トヨタは、ビジョンの作り手や担い手に一人の人物を特定できない珍しい例だ。イエス・キリストの死後も、その教えをまとめた聖書をよりどころにして広がったキリスト教のように、トヨタの生産方式は「カンバン」や「カイゼン」といった名称で世界中に広がっている。

3.敵からパワーをもらう

 キリスト教とイスラム教は、互いに争うことによって強烈なパワーを得てきた。同じ世界宗教でも仏教が二者ほどにパワーがないのは、敵がいないからだろうか? 敵がいることによって、社内がまとまり一丸となってビジョンを達成しようとする。コカコーラにはペプシ、マイクロソフトにはアップル。日本では、アサヒに市場シェアをとられて俄然がんばったキリンビール。敵をつくることで総選挙に勝った小泉前首相(おっとぉ~、関係なかったですね)。

4.ホンモノ 

 Authenticityという言葉を、「五感刺激のブランド戦略」では、「真正」と訳しました。疑いの余地などまったくなく本物だと信頼できること・・・300年近い歴史があるという「赤福」さえウソをつくとなると、このくらいしつこく定義しなくてはいけない。

 いつの時代でも、エセ新興宗教が登場しますが、長続きするものはほとんどない。ホンモノだけが歴史による淘汰を生き延びるのだ。

 つい最近、「Authenticity」というタイトルの本がアメリカで出版された。日本でもベストセラーになった「経験経済(ダイヤモンド社)」の著者B.J.パインとJ.H.ギルモアの書き下ろしだ。まだ読んではいないが、紹介文によると、「顧客は、世界をホンモノかニセモノかで見分けるようになっている。ホンモノかどうかは、価格や品質と同じくらい、重要な購買判断の基準になっている」そうだ。

5.一貫性

 これは言うまでもありません。企業が発するすべてのメッセージの内容に一貫性があり、企業が送り出すすべての印刷物やすべての広告物において、ロゴ、色、シンボル・・・すべてに一貫性があること。

 えー、今回は5か条で終わりです。

 残りは次回に・・・(ブランドと感情と記憶シリーズ第9回に続く・・・・)

Ilm05_cb10029s_2 独断度100%のコメント

広告製作者さんたちは、ブランドエッセンスとかブランドパーソナリティとかよーくわかっていて、広告のターゲット消費者や制作意図とかについて理論的かつ雄弁に物語ることができる。先日、ネット広告で賞をもらったというクリエイターさんの話を聞く機会があった。そしたら、年齢が若干若いだけで、テレビや紙媒体の広告をつくる制作者さんたちと同じように、どうしてこういう広告をつくったかをカッコよいノリで話された。

 でも、なんだか軽い。

 この人は、自分のフィーリングや消費者のフィーリングを基準にして広告を作っているのではないかと思った。

 ブランドと感情と記憶シリーズ第6回に書いたように、消費者(人間)の心の奥にある無意識の感情(情動、emotion)と、表出した意識できる感情(feeling)とを混同してはいけない。表面に出てきている感情(feeling)だけに目を向けて広告をつくっても、消費者の購買決定に与える影響力は小さい。また、消費者の無意識の感情を意識はしていても、自分自身のフィーリングを基準にしている限り、同じく、影響力のある広告はつくれない。

 制作者だけではない。クライエントである企業の担当者で、若者をターゲットとする広告はフィーリングが大事だと考えているひともいる。敢えていわせてください。若者だって、いや、若者であるからこそ、表に出てきてはいないemotionに(自分では気づくことなく)突き動かされて行動しているのです。

 消費者のフィーリングや自分のフィーリングを基準にして広告をつくっていては、長寿ブランドになる可能性がある商品も早死にしてしまいます。

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参考文献: 1. Louise Lee, et al., A Bruise or Two on Apple's Reputation, Business Week 10/22/07

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2007年11月 6日 (火)

ムードとマルチチャネル

 ムード(Mood)は顧客の購買決定に大きな影響を与える。ムードは「気分」と日本語訳されるが、「今日、一日、憂鬱な気分だった」とかいうように、ある程度の期間持続する点で、感情とは区別される。

 ムードとマルチチャネルとどういう関係があるのか? 早く結論を出せって?

 やけに短気ですねえ。

 もしかして、脳内のセロトニンの量が少ないのかもしれません。

 脳のなかには確認されているだけでも50種類以上の化学物質(神経伝達物質)があり、外からの刺激によって、特定の脳内化学物質が放出され、その組み合わせによって特定のムードや感情が喚起される。セロトニンが慢性的に欠乏するとウツ状態になり、ドーパミンが放出されると気分がよくなる。

 こういった脳内物質がどういった組み合わせでどのくらいの量が放出されているかによって、ムードは異なってくる。

 「若きウェルテルの悩み」も、ハムレットの「生きるべきか死ぬべきか・・」も、ある程度は、脳内物質のブレンドで決まるわけだ。深刻ぶるのがバカらしくなってくる。

 もっと、面白い事実があります。

 感情をともなう記憶ファイルには、その記憶を思い出したときに、どの脳内物質をどのくらい放出するかの指示内容まで入っているそうだ。楽しい記憶を思い出すときには楽しい気分に、悲しい記憶を思い出すときには悲しい気分になるのは、こういった仕組みがあるからだ (ブランドと感情と記憶シリーズ第3回参照)。

 脳は、そのときのムードによって、そのムードに沿った記憶ファイルを検索する。ウツ状態にある脳は、憂鬱な気分にさせるようなファイルばかり検索する。さらによけい惨めな気分にさせるようなことばかり思い出したり考えたりするのだ。いわゆるマイナス思考ってやつだ。

 脳はいちどきにひとつの感情しか感じることはできない。だから、ウツな気分から抜け出したいときには、楽しくなるような外部刺激を意識的に選ばなくてはいけない。たとえば、楽しい出来事を思い起こさせてくれるような音楽を聴くとか、あるいはドーパミンを放出してくれるようなアクション映画を見るとか・・・。

 でも、ネガティブなムードをポジティブなムードに変えることは非常にむつかしい。何もしたくない厭世気分にある消費者をクリスマス・モードに変えて、パーティ用のドレスやジュエリー、あるいはケーキやシャンペンを購買する気にさせることはできるのか? 

 広告にそれができるのか?

 できます。いつでも誰にでも効果があるわけではありませんが。

 たとえば、クリスマスに話を戻せば・・・・。

 今年のアメリカのクリスマス商戦で話題になっているのが、往年のクリスマス・カタログの復活だ。大手小売業のシアーズが14年ぶりに大型の分厚いカタログを発行した。「子供のころを思い出す」と、ベビーブーマー世代には好評のようだ。この場合は、クリスマスカタログという広告が、ノスタルジックな感情を喚起することに成功している。

 高級デパートのニーマン・マーカスもクリスマス・カタログのページ数をふやした。毎年、度肝を抜く商品を掲載することで有名だが、今年の話題は、キーロフ・オーケストラのプライベートコンサート($1,590,000)。お高くって手が出ないようなら、7.2カラットのダイアモンドがちりばめられたケータイ電話($73,000)はいかが?

 EBayやRed Envelopeのような高級品も扱うネット企業は、ウェブサイトよりも商品写真に高級感が出る・・・といって、カタログを特定顧客セグメントに送ります。

 高級カタログを見ていたら、店舗に出かけてみる気分になりましたか? 

 そうだとしたら、自分のいまの厭世気分をなんとかしなくちゃ・・という気持ちがあなたにはもともとあったということです。ネガティブなムードをポジティブなムードに変えるのには、本人の「自分はもっと楽しい気分になりたい!」という気持ちが必要です。

 店舗に出かければ、入り口ではサンタクロースに迎えられ、ホールでは合唱団がクリスマスソングを歌う。一階の化粧品売り場には香水の匂いが漂い、外を見るとライトアップされたイルミネーション(終わりのほうは、アメリカのデパートというよりは、日本の新宿髙島屋になっています)。

 五感を刺激する店舗の雰囲気に酔い、脳のなかは、適度に放出されたドーパミンでハイの状態。お買い物ムード満開だ。

 マルチチャネル化が話題になった90年代半ば、すべてのチャネルはウェブサイトに集約される・・・といわれた。が、最近、アメリカの小売業者は、紙媒体であるカタログや、歴史的には最古の販売チャネルである店舗の重要性を再認識するようになっている。

 ネットで注文して店舗で商品を引き取るサービスの評判は消費者の間でも高く、ウォルマートのサイトで注文をする顧客の三分の一が店で商品を受け取るのを選択する。そして、そういった客の60%は店舗で平均60ドルの付加購買をしていくという。店舗内での五感刺激の効果でしょうか・・・・。

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2007年11月 2日 (金)

世代を超えるメガブランド (ブランドと感情と記憶No.7)

 世代別マーケティングという言葉はよく耳にする。日本ではとくに定年後の団塊の世代へのマーケティングに注目が集まっている。なんてったって人数が多い。お金もある程度持っているし・・・。

 だが、世代ごとに異なるビジネス・チャンスを見つけようとするのではなく、異なる世代に共通点を発見しようとする研究もある。

 ハーバードビジネスレビュー(2007年7-8月号)に発表されたいたもので、要約すると・・・・

  1. アメリカの歴史においては、1620年に清教徒がメイフラワー号で渡ってきてから今日まで、19の世代が存在した。
  2. 各世代を家族、文化、価値、リスク、社会活動に対しての態度によって性格づけをしたところ、19の世代を4つのグループ(元型)に区分することができた。
  3. 各元型に、その特徴によって「預言者」「放浪者」「英雄」「芸術家」という名前をつけた。ちなみに、日本でも知られている「ベビーブーマー世代(1943-60年生まれ)は「預言者」で、その次の「X世代(1961-81年生まれ)」は「放浪者」となっている。
  4. 最初の「清教徒世代 (1588-1617年生まれ)」から今日まで、一回の例外を除いて、世代の元型の順番は同じだった。つまり、ヴィジョン、価値、宗教といった言葉に象徴される「預言者」世代のあとには自由、生存、名誉に象徴される「放浪者」世代が、そして、「放浪者」世代のあとには共同体、富、テクノロジーに象徴される「英雄」世代が続く・・・ということだ。

 先行する世代の特徴への反動の形で次の世代が生まれる。つまり、子供は親を見て育ち、その親に反抗する形で大人になる。人間は自分が属する世代によって性格づけられるのではなく、二代前の世代によって形作られた一代前の世代によって性格づけられる。だから、元型の順番が変わらないのは偶然ではない・・・と研究者は分析している。

 研究者たちは、たとえば以前の「放浪者」世代の20代のときの態度や行動を調べ、それが40代、60代とどう変わっていくかを見れば、いまは二十代の「放浪者」世代が40年後に、どういった言動をとるようになるかが予測できると考えている。

 将来の社会傾向を予測する興味深い方法だ。

 しかし、この研究内容を紹介した理由は将来予測のためではありません。

 時代は変わっても、人間(消費者)は「異なっている」というよりは「似通っている」・・・ということを証明する根拠のひとつとして紹介したのです。

 シリーズ第六回にも書いたように、消費者は水平的(グローバルな)観点からも、互いに類似している。そして、垂直的(歴史的)観点からも・・・。

 ブランド戦略において「選択と集中」が合言葉のようになっている。ブランドを取捨選択して、マーケティング投資を限られたブランドに集中する。こういったメガブランドは、消費者に多様性をみるのではなく、世代を超え国を超えても変わらない共通性をみることによってしか生まれない。

 人間である消費者が共通して持っている心の奥深くにある感情(emotion)にアピールすることなしに、メガブランドになることはできないのです。

           (ブランドと感情と記憶シリーズ第8回につづく・・・・・)    

Ilm05_cb10029s_2独断度100%のコメント

 日本の消費財メーカーや小売業は消費者に「バラエティにとんだ、価格の割には高品質な商品」を提供する競争を展開してきた。その結果として、高級ブランドを除いては、外資は「厳しい日本市場」でシェアを獲得できずあえなく撤退。つまり、日本企業は、些細な点で差別化された商品を販売し続けることによって、外資を日本国内から排除することに成功してきたわけです。

 だが、国内市場における熾烈な競争は日本の消費財メーカーや小売業に(欧米企業に比べて)格段と低い純利益率をもたらこととなり、脆弱な財務体質は海外への積極的投資を遅らせる原因となっている。(野村證券の報告書をみると、2004年度においても、日本の主要企業のROEは6~7%、かたや、米企業は16%を超え欧州企業は14~15%です)。

 日本市場がアメリカについて第二位の消費大国であったときは、それでよかった。でも、少子化の進むなか、国内需要だけに頼るわけにはいかないでしょう。

 日本のメーカーは、消費者に奥深い感情(emotion)ではなく、表出した感情(feeling)にあった商品を次から次へと販売してきた、以前にも書いたことですが、日本の消費者(人間)が新しモノ好きで気うつりしやすいとしたら、それは、日本のビジネスマン(人間)も同じなのです。

 たしかに文化的に異なる国民性というものがあることは認めます。でも、著名なグローバル・ブランドは変わらない共通点に訴えることによって成功しているのです。たとえば、シャネルやグッチといった高級ブランドは「憧れ」「嫉妬」「プライド」「恥」といった誰もがもっている感情に強烈にアピールします。

 コカコーラはアメリカ固有の文化を強調して成功した・・・ともいえますが、それは、結局は、世界の消費者に共通する「憧れ」という感情に訴えたわけです。そして、アメリカという国がもっているイメージが、「ハッピーで楽しい、楽天的な」感情を喚起するから、世界の消費者がそれに「憧れ」た・・・・わけです。コカコーラのブランド戦略総括者は日経MJの質問に答えて、「(コカコーラが創業120年を超えた今もブランド価値が衰えない最大の要因は)常にハピネスを感じさせる独自の価値観を保持してきたブランドだから・・・」と答えている。

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参考文献: 1. Trond Riiber Knudsen, Confronting Proliferation...in Mobile Communication, The McKinsey Quarterly May 2007, 2.Neil Howe, et.al, The Next 20 Years: How Customer and Workforce Attitudes Will Evolve, Harvard Business Review July-August 2007 3.「 『幸福を感じさせる価値観保持」、日経MJ10/12/07

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