« 長寿ブランドのヒミツ (ブランドと感情と記憶No.4) | メイン | 製品ライフサイクルなど存在しない! (ブランドと感情と記憶No.5) »

2007年10月23日 (火)

地球温暖化と衣料品ビジネス

 まだ多くの企業が地球温暖化をCSR(企業の社会的責任、Corporate Social Responsibility)の問題と考えているようだ。「環境保護にうるさい消費者グループへの対策として何をするか?」といったレベルだ。

 だが、「競争の戦略」で有名なマイケル・ポーターは、地球温暖化はもはやCSRの問題ではないとハーバード・ビジネス・レビュー(2007年10月号)に書いている。気候問題はビジネスへの機会や脅威として戦略的に考えなくてはいけないレベルにきている・・・そうだ。

 地球温暖化をビジネスへのチャンスとしてとらえてハイブリッド・カーが誕生した。だが、温暖化を脅威としてとらえ、新しいビジネスモデルの開発に迫られているのは、衣服を扱うアパレル産業だろう。

 日本でも、8月期の中間決算が発表されたが、「ユニクロ」や「しまむら」といったSPA大手二社とも業績予測を下回った。また、百貨店や総合スーパーも衣料品部門の不振に足を引っ張られた形で、業績予測を達成できなかった。

 そして、誰もが、天候不順を要因のひとつとしてあげた。

 ファーストリテイリングの柳井会長兼社長は「昨年の暖冬から続く天候不順も響いた」と語っている(日経ビジネスオンライン10/22/07)。ユニクロは一年前の冬には、厳冬のおかげで単価が高い防寒衣料品が売れたこともあって、2006年2月期に増益となっている。柳井社長は以前に「自社の商売にとって気がかりなのは景気よりも天気」と語ったそうだが、さも、ありなん。天候ひとつで衣料品ビジネスは上下する。

 地球温暖化の問題点は、暖かくなって四季がなくなっていくということだけではない。それが、温暖化のせいかどうかは結論が出ていないらしいが、気象の長期予報が当たらなくなっていることは事実だ。

 気象予報が当てにできないということは、商品計画が立てられない。アパレル産業にとっては、実に由々しき問題なのだ。

 アメリカでは、2006年のクリスマス・シーズンに、暖冬でコートなどが売れず、売上予測が20%以上もはずれた。これが、アパレル業界が気候リスクを身にしみて考えるきっかけになったという。

 もともと、カジュアル化が進んでいたところに温暖化・・・アメリカの消費者は冬のコートと夏のワンピース以外には、季節性のある洋服を持たなくなってきている。

 季節性のないシーズンレスな洋服だって?!

 それでは、洋服を数多く持つ必要がなくなる。

 季節ごとに商品を入れ替え、商品回転率の頻度を高め,流行創造による計画的陳腐化で繁栄してきたファッションビジネスは、地球温暖化によって、今後、どうなっていくのか?! と、ウォールストリートジャーナルは警報を鳴らしている。

 リズ・クレイボーンとかターゲットなどは、気象コンサルタントに生地の選択やデザインの相談をしたり、気象と連動した分析ツールを使って値下げやチェーン店舗への配送のタイミングを決める方法を模索しているらしい。JCペニーは、四つの季節ごとではなく、毎月商品を入れ替える方針に変更した。セオリーでは、寒い冬用の衣料は販売商品のわずか20%だけになるだろうと予測している。

 服の生地は一年中ほとんど変わらず軽いものになり、季節は色で表現されるようになるという。高級ファッションのアルマーニはマイクロクロファイバーとかレーヨンを使ったシーズンレスな服をすでに制作販売している。

 同じ高級ファッションでも、グッチとかプラダの場合、売上げの大半は、衣服ではなくて、ハンドバッグとか靴からあがってきている。だから、気候の影響は少なく心配していないようだ。シャネルにしたって、シャネルの服を愛用する客なら、暖冬でもファッションのためには我慢して毛皮つきジャケットを着るかもしれない。

 だいたい、お金持ちは、働きやすい服を選ぶほど汗水たらして働いてはいないのだから・・・(ハイハイ、ひがみ根性出てますよ)。

 柳井社長が高級ブランドを買収したがっているはずだ。また、靴ビジネスを買収したはずだ(業績はまだ上がってないけど・・・)。どちらも、地球温暖化の影響を「ユニクロ」ブランドほどには受けないタイプの商品だから。

 いずれにしても、アパレル産業は、地球温暖化でも常に利益を上げられるようなビジネスモデルの開発を早急に求められている。

New! 「ソクラテスはネットの無料に抗議する」を出版しました。内容については をクリックしてください

参考文献 1.Teri Agins, Warming Trend:White Jeans Year Round, The Wall Stree Journal Online, Aug.30,2007 2. 「大手小売中間決算」日経MJ10/19/07 3.「衣料不況が示す消費減速」日経ビジネス10/22/07

Copyright 2007 by Kazuko Rudy. All rights reserved

トラックバック

このページのトラックバックURL:
http://bb.lekumo.jp/t/trackback/603373/31082159

地球温暖化と衣料品ビジネスを参照しているブログ:

» 高級クリスタルブランド スワロフスキーとは (ブランド総合研究所【ジュエリー・バッグ・イタリアン】)
高級クリスタルブランド スワロフスキーとは スワロフスキーは、1895年.... [続きを読む]

» 新着記事のお知らせ【IT長者を目指す自営業者のブログ】 (IT長者を目指す自営業者のブログ)
読者の皆さん、お久しぶりです。 IT長者を目指す自営業者のブログのswimd(自営業者ブログ)です。 今回は新着記事のお知らせです。まとまった新着記事が発信しましたので、興味のある記事がありましたら是非一度お読みになってください。 トラックバック,コメントを心からお待ち申しあげます。... [続きを読む]

» アパレル業界と派遣社員 (アパレル関係の就職求人ナビ)
アパレルの求人というと、デパートなどのショップのスタッフを思い浮かべてしまいます。一般の求人誌でもアパレル関係の求人情報を手に入れることができますが、アパレル業界の求人情報の専門誌も発行されています。そのため、アパレル業界の求人情報は多種多様の膨大な情報量となります。アパレル業界の求人を行っているの...... [続きを読む]

» 地球温暖化で「北極点への旅は不可能」byボルゲ・オウスランド氏 (今日の時事問題とニュース百聞)
世界的な北極冒険家ボルゲ・オウスランド氏(45)が10月30日(火)、地球温暖化の影響で、夏季にこーり河を渡って北極点に向かう旅は今後十数年で不可能になっとの見方を示したようだべ。 北極や南極でのスキーによる単独横断で知られるボルゲ・オウスランド氏は、今後数年のうちに地球温暖化の影響で北極点への旅を計画する場合については、カヤックの持参を推奨してんべというべ。これまでにも北極点への旅を数回行ってん...... [続きを読む]

コメント

コメントを投稿

コメントは記事の投稿者が承認するまで表示されません。