売り方は類人猿が知っている(お知らせ)
12月9日に、日本経済新聞出版社より「売り方は類人猿が知っている」という本を出版いたしました。日経プレミアシリーズでいわゆる新書版ですから、安いです。850円です。だから、買ってください(わっ、これじゃあ、ブログで散々批判してきた「芸のない安売り」と変わりありませんね)。
・・・では、今度は、「品質」でアピールしてみます。
「自動車の売上とセックス頻度の関係」を解き明かす章もあります。S・E・Xの3文字を見ただけで、もう、買おう!って決めてませんか? なんといっても、エス・イー・エックスは売れるって、昔から広告関係者は言ってましたものね。この3文字に関係する実験とかエピソードはたくさん出てきます。でも、早とちりして買うとガッカリしますよ。基本的には、日本で自動車の売上が落ちているのは、世界各国のなかでも際立つセックスへの無関心が関係しているという、進化心理学や人類学にもとづくマジメな話です。
不況になるとお金に不自由していない層までもが買い控えをする現象を、神経経済学の実験や進化心理学から、じっくり解明する章もあります。章のタイトルは「金持ち父さんは貧乏父さんのことがとても気になる」(白状します。他の本のタイトルをパクってます)。11月22日の読売新聞に、山梨大学の研究で、社会の所得格差が大きくなると、貧困層だけでなく、中間層や高所得者層でも死亡する危険率が高まることが明らかになった・・・という記事がありました。ストレスが高まることが原因らしいということです。不況になると、なぜ、高所得者層のストレスが高まるのか? その結果、なぜ、お金をもっているひとたちまでもが「巣ごもり」してしまうのか? この本を読んでいただければ、すぐにわかります。(宣伝ムード満開!)。
不確実な時代には、不安なホモサピエンスはモノを買いません。
それは、お金がない・・という理由よりも、いま所有しているものを失いたくないからです。現状を維持したいからです。人間は、予測できない世界に耐えられません。だから、無意識のうちに意味のないものに意味を見ようとするのです。だから、予測不能な不確実な時代には、よりいっそう、「ちゃらんぽらん」で「ちぐはぐな」消費行動をとるようになるのです。
人間がそういった行動をとることを、神経科学や行動経済学、そして、その2つをプラスした神経経済学での実験が明らかにしてくれました。でも、その理由を教えてくれるのは90年代から注目を浴びるようになった進化心理学です。
数十万年前から数百万年という太古の昔にもどって、私たちの祖先がしたことや学んだこと、環境の変化に心の仕組みが適応してきた歴史を知れば、現代の不可思議な消費行動が明らかになります。企業は、こういった研究成果をじっくり考えることによって、これからも続くであろう不確実な時代に生きる消費者たちに、どう対処したらよいのか?・・・ヒントを得ることができるはずです。
わからないことはご先祖さまに聞いてみる。
私たちの遠い祖先である類人猿や原人たちが教えてくれる「消費学」を1冊の本にまとめてみました。
クチコミの歴史は数百万年前にサルの毛づくろいにさかのぼる・・・という話もあります。人間はゴシップ好きなDNAを受け継いでおり、また、他人といつも「つながっていたい」願望を、4百万年前に集団生活を始めるようになったころから持っています。だから、ケータイやTwitterでゆるくつながる現象は全然新しいことではない。ある意味、工業文明が始まることで崩壊した「村の暮らし」を、個人の自由が束縛されるといった欠点なしに再現することができたぶん、ホモサピエンスの歴史上、画期的なことかもしれない・・・などという話もあります。
人間の進化の歴史をふりかえることで、現代の消費者とどう向き合うべきか、なんらかのヒントを得ていただくことができればよいなあ・・・というのが筆者の願いです。
新しいアイデアを得られるかどうかは保証できません(逃げてる~)。でも、ミステリーを解読するみたいに、面白く楽しく読んでいただけることは、確率85%で保証できます(ちょっと宣伝しすぎだよ~)。ウソだと思ったら、買って読んでみてください(ああ、そうくるのか~)。
本を読んでいただいた方で、ご意見、ご感想、ご質問とかありましたら、このページのコメント欄にコメントを寄せていただければとても嬉しいです。私もコメント欄で必ずお返事させていただきます。
・・・ということで、よろしく、よろしく、お願い申し上げます(見えないかもしれませんが、土下座しています)。
「売り方は類人猿が知っている」 日経プレミアシリーズ
日本経済新聞出版社¥850
目次- 不安なホモサピエンスはモノを買わない
- 人間もサルも「得る」よりも「失う」を重く考える
- 金持ち父さんは貧乏父さんがとても気になる
- 自動車の売上と孔雀の羽の関係
- 感情と記憶が長寿ブランドをつくる
- 人間も進化の歴史から逃れられない
とても面白かったです!宣伝してます!先の見えない最近ですが、なんか漠然と見えてきました。ありがとうございます!
投稿: MOAPA | 2009年12月21日 (月) 22:54
MOAPA様
面白かったと書いてくださって、とっても嬉しいです。読者の皆様が、どう思ってくださるかなあ・・・と不安な気分でしたが、ちょっと元気が出ました。クチコミ宣伝、どんどんお願いいたします。
投稿: ルディー和子 | 2009年12月21日 (月) 23:10
著者自薦アピールで第4章のサワリに惹かれて即アマゾりました。
生命系は柳澤桂子を十年前頃から追っかけて(公開恋文交換で多田富雄にも引っかかって)きましたが、改めて大脳辺縁系から前頭前野系まで引っ掻き回される大報酬に痺れました。健康・老後・将来の3つ揃って消滅して不安は株価だけですが。とにかく面白かったです。村中に宣伝します。
投稿: 新庄裕三 | 2009年12月26日 (土) 21:57
新庄様
村中じゃなくて、市中、いえいえ、日本中に宣伝お願いいたします。そのおかげで本が売れたら、新庄さんが住んでいる某高級別荘地の某高級ホテルで豪遊します。
投稿: ルディー和子 | 2009年12月26日 (土) 22:37
川に投げ込んで記憶させる・・・。
この分部結構好きですね!
どの分部も事例がわかりやすいです。
早速ブログにも宣伝しておきました。
http://ameblo.jp/e-conferlist/entry-10420529068.html
でも何をどう書いてよいのかわからず、いまいちの文章で、申し訳ありません。
ブログに書いたので、ミクシーなどにも宣伝できております。
多くの人が読んでくださると良いですね!
有難うございました。
投稿: 沖本るり子 | 2009年12月27日 (日) 12:57
沖本様
中世のひとたちは、何十年もの間記憶させる方法をどうやって考え付いたんでしょうかねえ? やっぱり、人間観察でしょうか? 人材開発育成に取り組んでいる沖本さんに面白く読んでいただけたとしたら嬉しいです。
投稿: ルディー和子 | 2009年12月27日 (日) 15:11
人類学、脳科学、行動経済学、進化心理学等あらゆる観点から人間を分析。人間の思考、行動の経緯が分かり非常に面白かったです。
売り方だけでなく、人間分析にも役に立ちますね!有難うございます。
投稿: ハンソン惠子 | 2010年1月 1日 (金) 23:52
ハンソンさま
マーケティングって、結局は、ターゲットである人間の分析ですものね。自分をどれだけターゲットである人たちの立場になれるか・・だと思います
投稿: ルディー和子 | 2010年1月 2日 (土) 22:52
とても面白く、興味深く拝読しました。
神経科学や進化心理学については、仕事上少々かかわり、何冊か書籍も囓りましたが、ここまでわかりやすく、適切な例を引いておられるものはありませんでした。他書では脳の話が出てきた段階で、極端に難解になり、断念しておりましたので。
新書というメディア形式とそのボリュームの良さを最大限引き出しておられる良書だと思います。
知人にもひろく進めたいと思います。
投稿: tazuke | 2010年1月24日 (日) 11:38
tazukeさま
コメント、有難うございます。脳科学とか行動経済学に関する本はたくさんありますが、マーケティングとか売り買いのテーマに限定したものが余りなくて、そういったテーマに関連する資料だけを集めた結果が、この本になったというわけです。ですから、適切な例を集めて・・・と言っていただけるとうれしいです。
良書だという、私にとっては最大級の誉め言葉をいただいて、感激しております
投稿: ルディー和子 | 2010年1月24日 (日) 16:18
面白く読ませていただきました。
職業柄ずいぶんと肯かされることも多く、大変参考になりました。
投稿: BOSS | 2010年2月 4日 (木) 19:22
ルディーさん、
ずいぶんご無沙汰のJRDにおりました喜多村です。
とても面白く読ませていただきました。行動経済学、脳科学と実によく調べていらっしゃいますね。
いやー、頭が下がります。
みんなに口伝えます。
投稿: 喜多村 嘉彦 | 2010年2月 4日 (木) 23:07
BOSSさま
コメント有難うございます。大変参考になりましたと書いてくださって、とても嬉しいです。
投稿: ルディー和子 | 2010年2月 4日 (木) 23:24
はじめまして。商売柄とても興味深く、いちいち納得しながら読ませていただきました。マーケティングが人類=人間の過去から学ぶとき、その民族の記憶や民俗文化からさらに、何か見えるものはないかと改めて考えてしまいました。自分の今年上期の「眼ウロコ本」として、驚きと共に記憶させて頂きます。ありがとうございました。
投稿: 吉田正和 | 2010年3月 7日 (日) 15:42
吉田さま
コメント有難うございます。「眼ウロコ本」として選んでくださったとのこと、光栄です。せっかく読んでくださったのですから、お仕事をなさる上で、間接的にでもお役にたつことができれば嬉しいです。
投稿: ルディー和子 | 2010年3月 7日 (日) 16:06
遅ればせながらですが、拝読しました。すごく面白かったです。
仕事に活かしたいことが沢山沢山ありましたが、それ以外でも。実は最近失恋したのですが「得るよりも失うを重く考える」と言われて、いつまでも相手を美化してクヨクヨしている自分を、急に客観的に見れるようになりました。凄く気持ちが楽になりました。
変な感想ですみません。でも、恋愛指南書としても役立ちです。
投稿: きゅう太郎 | 2010年8月 6日 (金) 17:22
きゅう太郎さま
コメント有難うございました。それから、本を面白いと言ってくださいまして有難うございました。あの本は、タイトル的にはマーケティングの本みたいですが、実は、人間社会とか組織とか人間関係について、書いたつもりです。ですから、恋愛指南書としても役立つと書いてくださったのがとても嬉しいです。
投稿: ルディー和子 | 2010年8月 6日 (金) 18:10