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2009年3月15日 (日)

エビスビールの新しい広告は不可解

 Stnd007s「エビスは時間をおいしくします」というエビスビールの新しい広告は、はっきりいって理解に苦しむ。広告の基本にあるブランド戦略がまったくもって不可解。長い年月と広告費用をかけて築いた「ぜいたくなビール」というブランドの位置づけを捨て去るつもりなのだろうか?

 新しい広告の「時間をおいしくするビール」には他のブランドとの差別化などまるでない。どのビールだって、時間をおいしくする・・・と主張できる。小泉今日子と竹内結子を取り替えたら、サントリーのザ・プレミアム・モルツのCMかと思ってしまう。「ぜいたくなビール」といえば、ビールを飲まない人たちだってすぐにエビスを思い浮かべるだろう。消費者の心に占めるエビスブランドのポジションを--長い年月とお金で築いた貴重なポジションを、どうしてこうもあっさりと捨て去ってしまうことができるのだろうか? 

 日経新聞(2009年2月5日)の記事によると、「08年には主軸のエビスをはじめ、販売量を落としましたが」という記者の質問に、サッポロビール社長がこうコメントしている・・・「エビスでいえば『ちょっとぜいたくなビール』という宣伝が、この生活防衛の時代に『うんとぜいたくなビール』と思われた反省はある。見せ方の変化が必要で、年明けから『エビスは時間をおいしくします」という新しいCMにしたところ、これまでとまったく違うお客様の反応を感じる。エビスは前年より11%伸ばす計画だ」と答えている。

 麻生首相は「新聞は間違ったことを書く」と、新聞を読まないのは漢字が読めない(happy01)からじゃなくて、新聞が発言を正確に報道していないからだと批判したようだ。サッポロビールの社長のコメントも、すべてがきちんと書かれていない可能性はある。だが、もし新聞記事に近い発言があったとしたら、はっきりきっぱり反論したい。「ちょっとぜいたくなビール」が、エビスが長年努力して勝ち取ったブランド・イメージであり、ブランドのポジションではなかったのか? 

 不況で社会の様子が景気の良いころとは変わっていることは事実だ。だが、定額給付金の使い道を尋ねた日本経済新聞の調査によれば、31%は旅行・レジャーに使うと答えている。日々の生活費の補填が27%、ローンの返済が6%、貯蓄や投資が23%となっている。つまり、旅行・レジャーと貯蓄・投資にまわした54%はある程度生活に余裕があるひとたちだ。将来への不安から、洋服やバッグを買うのは控えても、グルメな高級飲食料品を買うお金くらいはある。たしかに、(昔のエビスの広告に登場したシーンのように)高級料亭に通うなど、あまりに目立つ消費をするのには罪悪感を感じるかもしれない。だったら、、小泉今日子に「(いろいろあるけど)たまには、ちょっとぜいたくなビールを飲もうよ」と言わせればいい。あるいは、「ぜいたくなビール飲んでもいいかな? いいよね?(許されるよね。だって頑張ってるんだもの)」でもいい。(たまには自分にご褒美あげて、そして、明日から頑張ろうよ!)と、不確実な社会に生きる我々日本国民にエールを送るメッセージにすればいい。

 「ちょっとぜいたくなビール」はエビスのブランド・スローガンだ。長寿ブランドは、よほどのことがなければ、ブランド・スローガンを変えないものだ。1965年に発売されたオロナミンCは「いつもハツラツ」だし、1962年発売のリポビタンDは「ファイト・一発!」。1926年発売で最も長寿なのは「チョコレートはめ・い・じ」・・・だ。ブランドスローガンを変えるということはブランド・イメージやブランド・ポジションを変えることであり、それは、ブランドを保有する企業にとっては非常に重大な決断のはずです。景気がよくなったら、「ぜいたくヴァージョン」に変えればいいなんて、まさか、まさか、そんな軽いノリじゃないとは思うけど・・・・。

 サッポロビールが今回したことは、マーケティング史上の大失敗のひとつに挙げられるコカコーラの失敗を思い出させる。コカコーラは生誕100年を迎えた1985年4月に、コーラの味を変え「ニューコーク」として発売した。これに対して、消費者が大反対運動を起こし、結局、3ヵ月後には、元のコークを再発売するハメになっている。なぜ、こういうことになったかとえいば、ライバルのペプシが60年代にヤングなイメージを強調したキャンペーンを展開し、コカコーラを年寄りが飲むコーラだと消費者に思わせるのに成功した。なおかつ70年代後半には「ブラインド・テストで味比べをすると大半のひとがペプシのほうがおいしいと答える」というキャンペーンを始め、コカコーラの市場シェアが徐々に侵食されるようになってきた。あせったコカコーラ経営陣は、「消費者の味覚が変わったのかもしれない」と考え、新しい味のコークを発売したのです。

 コカコーラのNo.1の地位に迫りくるペプシ・・・この図式は、エビス対サントリーのザ・プレミアム・モルツの関係にちょっと似ている。プレミアムモルツに比較して、エビスは「おじさんが飲む高級ビール」のイメージになっていることがエビスを不安にさせたかもしれないとしたら、この点も、ペプシ対コカコーラの対決に似ている。いずれにしても、ザ・プレミアム・モルツは積極的な広告投資が効いて、2008年には前年対比で21%と売上を伸ばし、反対にエビスの売上は9.7%減少してしまった。経営陣としてはあせったと思います。

 コカコーラはニューコークを出す前に、むろん、大規模な消費者調査をした。そして、後から分析すると、消費者は味を変えることに反対していたことを示唆するようなデータもあった。が、問題は、調査をする前から、コカコーラの経営陣は、「味を変えないとペプシには勝てない」というメンタリティに陥っていたことだ。よって、変えることを支持するようなデータばかりに注目してしまったのです。こういった行動経済学でいうところの確証バイアスは消費者調査にはよくあることです。

 2008年にプレミアム・モルツが勝ったのは、ただ単に、広告投資を多くしたからだけかもしれない。そして、エビスビールの売上が今度のキャンペーンで上がるとして、それは、ただ単に、積極的に広告投資したからだけかもしれない。資生堂のツバキが大々的にマス広告を展開して市場シェアを増大したように・・・。問題は、キャンペーンをやめた後のことです。

 コカコーラは、「味を変えることへの反対運動」騒動のおかげで、アメリカ市民がコークのブランド価値に目覚め、「瓢箪から駒」で、陰がうすくなっていたブランドをよみがえらせるという幸運な結果を手に入れることができた。エビスはどうでしょうか? 消費者がエビスはぜいたくなビールだということを忘れてしまわないうちに、スローガンを復活することを切に祈ります。

 続いて・・・

 サッポロビール社長が言うところの「この生活防衛の時代」には、「エビスは時間をおいしくします」なんてまだるっこい曖昧なメッセージではなく、安心感を与える強いメッセージを送ることの必要性について、書いてみます。

 博報堂生活総合研究所調査(2008年12月発表)によると、不安に感じている日本人は74.2%でこれは過去最高だそうだ。「不安」という感情は「恐れ」という感情に関係している。人類の祖先である二本足で歩いた猿人が登場したのは400万年前ごろではないかといわれている。そのころにはすでに発達していただろう基本的感情には4つあるといわれる・・・1)恐れ、2)嫌悪、3)怒り、4)親が子供に感じる愛。こういった感情が発達したのは、当時の猿人たちの脳(大脳辺縁系)にとっての関心事は、1)生存することと 2)子孫を増やすことの2つだったから・・・。たとえば、「恐れ」の感情は肉食の大きな動物の危険を察知して逃げるために、そして、「(ムカムカするような)嫌悪感」は身体に毒になる食べ物を体内にいれないために必要だった。

 「不安」という感情は「恐れ」の前段階だ。たとえば、狩をしていたら背後でゴソゴソ音がする。もしかしたら、自分たちを襲おうとする野獣?それとも風で揺れる木の葉?いやもしかしたら、毒ヘビかも? 恐れるべき正体がはっきりしないから、逃げるべきか、「怒り」を感じて攻撃すべきかわからない。だから、足がすくんで動けない・・・これが不安の状態だ。

 現在の経済危機下にある消費者は身がすくんだ状態にある。だから、安全な巣である洞窟にこもる。こういう状態にある消費者に企業がすべきことは、「大丈夫だよ、ただの風の音だよ。安心して外に出たらいい」とか「外にライオンがいる。でも、きみなら大丈夫。他のみんなと力をあわせればライオンをきっと倒すことができる」と肩をポンと押して足を一歩踏み出させてあげることだ。

 こういう時代だからこそ、心強いメッセージを頻度多く送ることが重要だ。消費者は身がすくんだ状態にずっといたいわけではない。肩を押してくれる誰かを待っているのだ。その誰かになれれば、消費者とその一瞬だけでも感情的につながったことになる。不況は長寿ブランドを確立するビッグ・チャンスなのだ。「このご時世に『うんとぜいたくなビール』と思われた反省はある」というサッポロビール社長のコメントからは、どこか不安と弱気が感じられる。弱気になった企業には心強いメッセージは送れない。

 ぜいたくに思われていいじゃん。だって、それがエビスの売りなんだもの。

 1929年に始まった大恐慌に成長した企業は、マーケティングNOW4で書いたように、「不景気などまるで存在していないかのように、一般大衆が消費できるお金を以前と同じくらい持っているかのようにふるまった会社」なのだ。きっと、消費者は、そういった態度をとる会社からのメッセージに安心感を感じとることができたからだと思う。

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参考文献:1.「小規模でも魅力ある商品を」日本経済新聞2/5/09、2.「定額給付金、使い道は」日本経済新聞1/29/09、3.リタ・カーター「脳と心の地形図」原書房、4.スティーブン・ピンカー「心の仕組み」日本放送出版協会、5.ルディー和子「マーケティングは消費者に勝てるのか?」ダイヤモンド社

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2009年3月 2日 (月)

ノキア「ヴァーチュ」と不況下の価格戦略 

Stnd007sノキアの最高級ケータイ・ブランド「ヴァーチュ」銀座店が2月19日にオープンした。端末価格は最低でも67万円。最も高いので600万円・・・だとか24時間対応のコンシェルジェ・サービスが話題になっている。コンシェルジェといっても、ドコモのようにヒツジさんメールじゃなくて、人間のシツジ(執事)が電話口に出てくる。もっとも、2002年に欧米で発売されたときには、「こんな高いケータイを買うようなひとだったら、秘書とか部下とか召使とかいっぱいいて、レストランの予約だろうと奥さんに花を贈る手配だろうと何でもしてくれるはず」とコメントするアナリストもいた。でも、「ナイショの愛人に花を贈る手配は、自分でこっそりヴァーチュのシツジに電話する」こともできます。

 さっすが、金持ちのやることは違う。

 「日本は世界で最大の市場になるだろう」というヴァーチュ側のコメントはリップサービスかと思ったがそうでもないらしい。ファッションや時計などの高級製品における日本の市場規模は世界の18%を占め、アメリカについで第二位だそうだ(インターナショナル・ラグジュアリー・ビジネス・アソシエーション調査)。直営店としては19件目となる日本第一号店がオープンして最初の週末・・・来店客の9割は男性だったという。なぜか「時計好き」の遺伝子をもつ男性陣をひきつけることはできても、宝石好きの女性の間ではいまいち話題になっていないようだ。海外で発売されたときには、女優のグウィネス・パルトロウがまっさきに買い、歌手のジェニファー・ロペスは3つも持っている。マドンナやマライア・キャリーもファンだというウワサがありましたが・・・。

 ヴァーチュの売上は公表されていませんが、フィナンシャルタイムズの2008年6月の記事によると、世界市場で一年間に100万個から200万個売れているそうです。

 ノキアは、日本市場においては、フツーのケータイ端末の販売を2008年11月で終了している。海外では「ノキア、日本市場から撤退」と報道されたが、価格競争の厳しい日本の端末市場で利益率の低いあるいはほとんど利益の出ない端末を売っても仕方がない。それよりは、140万人いるという富裕層セグメントにターゲットを絞り、超高級端末を売るという賢い選択をしたわけだ。高級端末を取り扱っていれば、ノキアのブランドイメージや知名度は高いまま維持できる。そうすれば、いつか、また、日本の市場環境が変わったり、ノキアが革新的新商品の開発に成功したときにカムバックすることもできる。

 不確実な時代において、高級・高額品と低額品と両方の価格帯の商品をあわせ持つことは、企業の生存を左右する重要な選択だ。最近の決算発表で話題になった「不況でも利益を出した企業」の多くは、この「高低二段構え価格戦略」を採用している。

 たとえば、サントリーとマクドナルド・・・

 サントリーは低価格の第3のビール「金麦」をヒットさせた。また、2008年前半に他社がビールの価格を上げたときに、缶ビールは秋まで価格据え置きをして追随しなかった。これだけみると、サントリーは低価格戦略をとっているように思える。が、高額・高級ビール「ザ・プレミアム・モルツ」もヒットさせた。2008年、すべてのビール銘柄のなかで、前年対比で売上を伸ばしたのはサントリーの「ザ・プレミアム・モルツ」唯一つだけだ。21%の成長を達成している。佐治社長は「ブランド価値を高めるために、あえて積極的に広告費を投入した」と語っている。

 これは、アメリカの大恐慌やそれ以降の不況時に成長した企業が採用した戦略と同じだ。不況時に競合他社が広告宣伝費を削減するときに敢えて積極的に宣伝することによって、ブランドイメージを向上し市場シェアを増やす(マーケティングNOW第4回『大恐慌時代のマーケティング戦略』参照)。高級ビールの代名詞だったエビスの売上は2008年には9.7%減少している。このまま手をこまねいていたら、今回の不況が終わるころには、プレミアム・モルツに取って代わられてしまうことだろう。

 マクドナルドは100円商品の低価格戦略だけで利益を上げるのに成功したわけではない。100円コーヒーやバーガーを揃える一方で、ダブルだと490円もするクォーターパウンダーも販売している。そして、重要なことは、高額品クォーターパウンダーを広告宣伝すればするほど、100円商品の割安感が出てくるということだ。

 ネスレも同じような戦略をとっている(小売とメーカーのバトルロワイヤル第7回、『ネスレはマシンで勝負する』参照)。ネスプレッソという高級・高額ブランド・コーヒーを広告宣伝することによって、コーヒーメーカーとしてのネスレのブランドイメージがあがり、ひいては、スーパーで販売しているネスカフェブランドの価値が上がる。よって、ネスカフェは安いPBに対抗できるし、小売店からの値下げ圧力に(ある程度)抵抗できる。

 不況時には高額品と低額品、両価格帯(場合によっては、中価格帯の商品を含めて高中低の3つの価格帯)の商品を売る必要がある。なぜなら・・・

  1. 従来から販売している高額品の売上が落ちたからといって、値下げをすれば、ブランドイメージが下がる。ブランドの知覚価値がいったん下がったら、景気が良くなったからといって値上げすることはできない。
  2. 高額品を愛用していた顧客のなかには、不況時の不安感から、あるいは本当に可処分所得が減ったことにより、愛用していた高額品に類似した価値をもちながらも値段の少し安い代替品を探すセグメントがある。このセグメントが競合他社に移っていかないように、少し値段の安い価格帯のものを発売する。こういったタイプの顧客は、景気がよくなると、また、高額品を買うようになる。だから、顧客の数が減ったからといって高額品の値段を下げることだけは絶対にしてはいけない(この例はハンドバッグとかその他のいわゆるブランド品をイメージしてください)。
  3. 低価格帯の商品を売らなくてはいけない状況になっった場合は、それに対抗するように高価格帯の商品も発売する。そうすれば、1)高価格帯の商品を広告宣伝することにより、低価格品の知覚価値を向上できる、2)結果、低価格帯の商品の割安感が出てくる、3)低価格商品をいくら売っても利益が少ないかほとんどない。それを利益性の高い高価格商品で補うことができる。

 P&Gは2009年2月に乳幼児用紙オムツで一枚当たりの価格が通常品より6割も高い高級紙オムツを発売した。オムツ市場は、2008年12月にユニチャームが実質値下げに踏み切り価格競争が厳しくなっている。高級品を出すことによって、1)P&Gのオムツのイメージが上がり、低価格品の値ごろ感が増す。また、2)よぎなく低価格品の値下げに踏み切ることにした場合でも、高級品が利益に貢献してくれる。

 このように、低額品と高額品と二つを揃えることにより、ブランドイメージ、知覚価値、割安感・・・などを戦略的に操作することができる。これが、不況のときに好況のときを考え、好況のときに不況のことを考える・・・つまり不確実な時代に合った価格戦略だ。グッド/ベター/ベスト(Good/Better/Best)の売り方は、19世紀末にカタログ販売を始めたシアーズが考案したものだという。日本でも、おすし屋さんでは、特上、上、並という売り方をしているが、これは、消費者心理を上手に利用した価格づけなのだ。

 消費者は価格と価値をそれぞれの絶対的値で比較して「割安」だとか「値ごろ」だとか判断しているわけではない。あくまで、他のなにかと比較してヒューリスティックに判断しているだけだ。比較対照となる参照価格は、「以前の価格」、「競合他社の価格」、「同じブランドの高中低の価格」・・・ということになる。企業は価格は市場が決めるもの、だから自分たちにはコントロールできないものだと思い込んでいるところがある。「値ごろ感」は消費者が感じる感覚だと思っているふしがある。

 とんでもない。

 「値ごろ」だと感じさせるのは、ある意味、マーケティングの技である。値ごろ感を感じさせるために、比較対照となる高価格帯の商品を強調したり、反対に低価格帯の商品を強調したりする。そして、いずれの場合も、高級品を広告宣伝することで、低価格品の知覚価値を向上させる。

 消費者の買い控えが顕著になると、商品の値段を下げたくなるのは、経営者の本能的選択である。つまり、消費者がヒューリスティックに購買決断をしているとしたら、同じ人間である企業の意思決定者たちも、「安ければ売れるだろう!」あるいは「こんな時代には安くするしかない」とヒューリスティックに決断しているだけだ。

 買い控え問題を解くカギは低価格だけではないはずだ。 

 最初のノキアのケータイの話に戻ります。ノキアは新興国では電話をするだけの単機能の低額品を販売している。もっとも、インドで最も売れた機種は、目覚まし時計、ラジオや電卓、そして懐中電灯付きのものだ。電気の通じていない村、そして都市部でも停電が多いことを考えると懐中電灯機能付きのケータイは非常に便利なのだ。そして、重要なことは、こういった低価格の機種からヴァーチュのような高級品までを揃えることによって、消費者は自分の所得が増えるごとに機種を変えていくことができる。これはある意味、夢のあることだ。ヴァーチュを使っているセレブの記事を読むたびに、一般市民は憧れを感じ、自分もそれに近づきたい、あるいは近づいているという喜びを感じることができる。それが、ノキアのブランドイメージを上げ、ブランド価値を高める。そして、ノキアは顧客を長期にわたって維持していくことができる。

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参考文献: 1.「自分を捨て「新星」をはぐくむ」、日経ビジネス2008年12月22日・29日号、2.「宝飾ケータイ異次元に誘う」、日経MJ2/25/09  3. 「低・高額品の二段構え」日経MJ 1/12/09  4. The Origins of Vertu, The Economist, 2/20/03,  5.  Simon de Burton, Mobile Phones with a Swiss Twist, FT. com 6/13/08 6. How Did Nokia Succeed in the Indian Mobile Market, While Its Rivals Got Hung Up? 8/23/07 Knowledge@Wharton

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