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2007年10月15日 (月)

五感刺激は泣ける!(ブランドと感情と記憶No.3)

 夏の日の忘れられない思い出・・・・。

 沈む夕日を背に二人で歩いた砂浜。近くのホテルのプールサイドから流れてくるサザンの曲。・・・そして、突然の別れ話。

 号泣weepweepweep

 非常に感情的な出来事の場合、いつ、どこで、何が・・といった事件の詳細と、そのとき経験した感情と二種類の記憶ファイルがつくられる。

 記憶ファイル=情報ファイル(海馬)+感情のファイル(扁桃体)

 情報ファイルをつくる海馬も、感情の記憶ファイルをつくる扁桃体も、どちらも二億年前にさかのぼる古い脳に位置する大脳辺縁系にある (タツノオトシゴの形をしているので海馬と呼ばれ、アーモンドの形をしているのでアーモンドの和名である扁桃という名前がついている)。

 情報だけのファイルは消滅しやすいが、強い感情を伴っている場合は、長期的保存に耐え、ちょっとしたきっかけ(キュー)で検索される。たとえば、五感のうちのひとつが刺激されることによって、ファイル検索が始まる。よくあるのは聴覚への刺激。サザンオールスターの曲が流れてくると、突然、二十年前の「あの海辺でのひと夏の恋の終わり」が思い出される。

 同じような感情の体験も過去の同じような感情経験の情報ファイルを検索するきっかけとなる。たとえば、恋愛映画を見ていたら、ボーイフレンドに捨てられた主人公が号泣する場面。その主人公に共感したら、自身の過去の失恋体験を思い出して自分もweepweepweep

 強い感情を伴う体験の記憶の仕組みがわかったとして、ブランドづくりにそれをどう利用したらよいのか? 

 ・・・・えっとぉ、その前に、五感の話をしてみます。

 五感には、聴覚、視覚、嗅覚、味覚、そして皮膚感覚がある。

 皮膚感覚の代わりに触覚を使うことが多いようだが、触覚は、温覚、冷覚、痛覚といっしょになって皮膚感覚をつくっている。歌手のマドンナが来日して、新聞か雑誌のインタビューに答えて、「トイレに座って便座が温かいと、ああ、日本に来たんだ」と実感すると言っていた。日本で普及しているウォシュレットのことを指しているのだ。温覚も想起を促す重要な感覚刺激のひとつだから、無視してはいけない。

 (ウォシュレットはTOTOのブランド名でジェネリックネームにまで昇格したものだが、この間、これをITトイレットと呼ぶアメリカ人がいた。けっこう、いける名称だ)。

 五感のうちでも嗅覚への刺激によって思い出される記憶は、他の感覚刺激によって思い出される記憶よりもより鮮明でより感情的であるといわれる。なぜなら、五感のなかで嗅覚だけが、感情と記憶に関係する大脳辺縁系に直結しているからだ。まず古い脳に刺激を伝達し、その後で、他の感覚と同じように大脳新皮質のほうに刺激を送る。

 その理由は・・・、二億年前に登場した原始的哺乳類は夜活動する夜行性。したがって、自分を守るためにまず最初に必要としたのが視覚ではなく嗅覚。敵を察知したり食物を手に入れるために大切な感覚だったのだろう。だから、嗅覚が最初に発達し、古い脳である大脳辺縁系につながった。

 そして、その場所は、感情と記憶に深く関係する場所だ。

 長寿ブランドに食品が多いのは、嗅覚が大いに関係してきます。

 この話は次回に(ブランドと感情と記憶シリーズ第四回に続く・・・・)

Ilm05_cb10029s_2トレビアかもしれないけど「話のネタになるかも」エピソード

 いまワイドショーで話題のスモウが大好きで横綱審議委員をしている内館牧子さんが、朝日新聞(3/6/2006)で、嗅覚と記憶の関係にぴったりの話を披露していた。・・・1963年に半年間の休暇をとってパリでホテル暮らしをしていたとき、和食レストランに入ったら、焼き鳥の匂いが漂ってきた。突然、「もうすぐ夏場所が始まる!」と思い出した。なぜなら、大学生のころ、東京での本場所の最中はほとんど毎日国技館に通っていた。いつも午前6時ごろから配られる整理券を求めて、列に並ぶ。そこに漂っていたのが、鬢付け油の匂いと焼き鳥の匂い。

 パリで焼き鳥の匂いをかぎ、いてもたってもいられず、半年の休暇を切り上げて、夏場所に間に合うように帰国した・・・・そうです。

  ちなみに、「五感刺激のブランド戦略(ダイヤモンド社)」によると、日本を含めた世界13カ国で2003年に実施された調査では、25歳~40歳の消費者が重要と考える感覚は、視覚が58%でトップ。第二位は嗅覚が45%で聴覚の41%を上回っていました。皮膚感覚は25%で最下位ですが、衣服などでは外見(視覚)よりも皮膚感覚を重要視する消費者が増えている。また、電話機や自動車では皮膚感覚を重要と考える消費者が50%近くになってきているのが世界的傾向だそうです。

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参考文献:1.ルディー和子(2005)「マーケティングは消費者に勝てるか?」ダイヤモンド社 2.Giep Franzen, et al, The Mental World of Brands, 2001, World Advertising Research Center

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